はんだ付け技術の基礎知識Vol.2「レーザーはんだ付け」

レーザーはんだ付けは、物理的負荷がないなどメリットも多い反面、その施術には高い技術と経験が必要。目的に応じて、こてはんだ付けと工法を使い分けることが重要です。

はんだ付けの新しい工法

レーザーはんだ付けは、こてはんだ付けと加熱原理の異なる新しい工法です。はんだ付けをする箇所を温める「予熱」、はんだを供給するための「加熱」、形を整えて仕上げる「後加熱」という、はんだ付けの3つのステップは同じですが、熱変換理論が違います。こてはんだ付けでは、加熱したこて先をはんだ付け箇所にあてて温度を上げるのに対し、レーザーはんだ付けでは、レーザーを照射した部位自体が発熱します(表面発熱)。

こてはんだ付けの場合、基本的に温度は設定温度以上に上がらず、周辺に伝わる熱量はこてをあてている時間によって決まります。一方、レーザーはんだ付けは、レーザー照射を受けた箇所が局部的に発熱し、吸収するエネルギー量に応じて瞬間的に温度が上昇するため、加熱しすぎてしまうおそれがあります。そのため、レーザーはんだ付けには、照射エネルギーと時間の調節に関する、高い技術と経験が必要です。

こてはんだ付け加熱プロセス

レーザーはんだ付け加熱プロセス

レーザーはんだ付けの特長

(1)非接触で物理的負荷がない

基板にも電子部品にも一切ふれず、レーザー照射とはんだ供給だけで、物理的負荷をかけることなくはんだ付けができます。

(2)ピンポイントではんだ付けが可能

効率的にピンポイントで加熱できるので、こて先が入らないような狭い場所や、高密度実装で部品同士がほぼ密着するような場合などのはんだ付けに適しています。

(3)自動化しやすい

効率的な加熱とはんだ供給により自動化しやすく、安定したはんだ付けが可能です。

(4)メンテナンス性が高い

こて先のように定期的な清掃・交換の必要がなく、消耗品が少ないため、メンテナンスの手間が軽減できます。

目的に合った工法選択を

レーザーはんだ付けは、こてはんだ付けの代替技術ではなく、加熱原理が異なる別の工法です。それぞれに得意な分野、苦手な分野があるので、単純に新しい技術だからといって、こてはんだ付けをレーザーはんだ付けに置き換えたのでは、レーザーはんだ付けのメリットを消してしまいかねません。
それぞれの特性・強みを活かして、用途に応じて補完・使い分けることが重要です。

■ こてはんだ付け・レーザーはんだ付けの使い分けのポイント

こてはんだ付け レーザーはんだ付け
◯高熱容量部品が得意 ◯高熱容量部品が得意
◯はんだ付け時の温度調節が容易 ◯狭い場所、入り組んだ場所へのはんだ付けが可能
×こて先が入らない狭い場所や高密度実装には使えない ×照射エネルギーと時間の調整には注意が必要

はんだ付け技術の基礎知識Vol.2 ダウンロード

「レーザーはんだ付け」の原理や利用時の注意点、過剰加熱によるはんだや基盤への影響など、詳しくお知りになりたい方は、こちらからPDFファイルをダウンロードいただけます。