IPCはんだ付コンテスト2022採点結果発表!

2022年11月08日
IPCはんだ付コンテスト2022採点結果発表!

コンテスト採点結果レポート特集!

IPCはんだ付けコンテストとは?

IPCはんだ付けコンテストとは国際標準化団体のIPCが主催するHand Soldering Competitionの日本大会です。

IPC Hand Soldering Champions

プリント基板アセンブリの重要なプロセスの1つは、手によるはんだ付け作業です。手はんだ付けで作業を行う技術者は、プリント基板アセンブリに部品をはんだ付けする際に特殊な技術を持っています。
IPCでは、世界中のさまざまな展示会などの会場において、各国、地域ごとにはんだ付けコンテスト(Hand Soldering Competition)を主催し、世界中のはんだ付け技術者を世界の最前線で光を当てることに支援しています。この大会では、企業を代表して参加頂く手はんだ付けの高度技術者が、指定された時間内でプリント基板にはんだ付けを行い、IPC-A-610J-STD-001による品質判定とIPC-7711/21によるリワークリペアの手順と品質の高さを競い合います。
IPCでは、職業として活躍されるプロフェッショナルと学生を対象に競技会を開催し、優勝、準優勝、3位には賞金を授与しています。日本大会では、高性能はんだごてであるUNIXJBCのソルダリングステーションが使用されました。

10/26-28 IPCはんだ付けコンテスト2022 in 名古屋

今回は、総勢約130名が応募、1次予選を50名が通過し、2次予選を通過した24名にて本選が先月名古屋にて行われました。本選では北は北海道から南は九州まで、大手企業のチームを組んで望まれた精鋭の方々から、小規模ながらも職人技にプライドをもった企業まで、日本屈指のはんだ付けエンジニアが集まり、チップやQFPなどの表面実装部品・挿入部品のはんだ付けによる部品取り外し・部品取り付け・機能テストまでのはんだ付けの総合力を競う最上位レベルの大会となりました。

productronica

IPCはんだ付けコンテスト優勝者はドイツで行われるIPC Hand Soldering Championsの出場資格を獲得します。同イベントはドイツで開かれるかれる展示会、productronicaにて開催されます。productronicaは、1975年以来ミュンヘンで2年ごとに開催されている電子機器製造の見本市です。

採点結果発表!

第1位の結果解説と主な減点ポイント

1位の方は、部品の取外し・部品の取付け・機能テストすべてをクリアしました。
今回のコンテストは時間制限もある中で、テスト用サンプル基板の難易度も高く、ハイレベルなコンテスト参加者の中でも3つの項目すべてをクリアできたのは1・2位の方のみでした。主に指摘された減点ポイント(右図参照)
表面実装部品のリード部品がパッドからずれていたため「サイドのはみ出し」として減点、パターン間にはんだボールがありブリッジしている、部品付近にはんだボールが付着しているなどが主な減点要因でした。是非みなさまの今後のより良いはんだ付け作業と評価のご参考にしてください。

第2位の結果解説と主な減点ポイント

2位の方も1位の方同様に、部品の取外し・部品の取付け・機能テストすべてをクリアしました。スコアの差で惜しくも2位となってしまいました。

主に指摘された減点ポイント(右図参照)
スルーホール部品の内部のはんだ充填不足、つまりリードとホール内壁の濡れ不足、サイドのはみ出し被覆リード線の絶縁クリアランスの不適合スペーサに部品が接触していないなどが主な減点要因でした。

第3位の結果解説と主な減点ポイント

品質スコアは本コンテストで2番目の順位でしたが、機能テストでLEDが1つ点灯せず、3つの工程の評価が優先されるため惜しくも3位となりました。

主に指摘された減点ポイント(右図参照)
有極性部品の取付け方向が逆これがLEDが点灯しなかった要因でした。そのほか、FOD、炭化した異物破片の付着被覆リード線の絶縁クリアランスの不適合スペーサに部品が接触していないなどが主な減点要因でした。

第4位の結果解説と主な減点ポイント

品質スコアは本コンテストで5番目の順位でしたが、4位の方は部品の取外しと取付けが100%完了していたため、今回4位となりました。
5位以降の3項目の結果とスコアは総合結果をご参照ください。主に指摘された減点ポイント(右図参照)
3位の方と同様に有極性部品の取付け方向が逆LEDが点灯しなかった要因でした。そのほか、FOD、炭化した異物破片の付着リードとホール内壁の濡れ不足、などが主な減点要因でした。

第5~7位の方の主に指摘された減点ポイント

5位以降の3項目の結果とスコアは総合結果をご参照ください。

こちらでは、主な指摘ポイントのみ記載していきます。
-QFPの不濡れ
-炭化した異物破片付着
-部品未取付け
-チップ部品の片側のパッドとの重なり不十分
-Jリードのサイドはみ出し
-端子のエンド部分の濡れ不足
-部品がスペーサに接触していない
-はんだブリッジ
-有極性部品の逆方向取付け
などが主な減点ポイントとなりました。

第8~10位の方の主に指摘された減点ポイント

5位以降の3項目の結果とスコアは総合結果をご参照ください。

こちらでは、主な指摘ポイントのみ記載していきます。
-部品未取付け
-リードの突き出し長さの異常
-有極性部品の逆方向取付け
-Jリードの不濡れ
-炭化した異物破片付着
-挿入部品のリードとホール内壁の濡れ不足
-はんだブリッジ
などが主な減点ポイントとなりました。

総合結果

左表に順位とスコアと番号、右側に今回本選に参加されました24名の方の分のすべての結果を記載しておりますのでご参照ください。
品質スコアだけ見ますと順位が前後しているように見えますが、取付け・取外し・機能評価の3つの項目が優先されることご理解ください。
是非みなさまの今後のより良いはんだ付け作業と評価のご参考にしてください。
順位 スコア 番号
1位 455/480 B-2
2位 434/480 F-2
3位 446/480 G-1
4位 398/480 G-3
5位 424/480 D-2
6位 378/480 C-3
7位 377/480 H-1
8位 376/480 F-1
9位 369/480 H-2
10位 363/480 C-1
11位 318/480 D-1
12位 277/480 D-3
順位 スコア 番号
13位 276/480 E-1
14位 217/480 A-3
15位 202/480 F-3
16位 242/480 G-2
17位 208/480 B-3
18位 93/480 H-3
19位 92/480 C-2
20位 80/480 A-1
21位 75/480 A-2
22位 69/480 B-1
23位 63/480 E-3
24位 60/480 E-2

 

今回使用されたIPCの標準規格

部品取外し
部品取付け
外観検査

今回使用されたはんだ付ごてセット

はんだ吸い取り・ホットエア・ピンセットなどリワーク機能が充実したはんだ付けモジュールラインです。デモ機貸し出しも行っておりますので、ぜひこの機会にお試しください。